大阪万博の翌年、昭和46年の夏 8月1日、中学生の最初の夏休みにHOゲージ仲間の例の金井君と同じバスケ部の秀才 阿蘇川君と3人でSLのメッカ九州を目指し、東京駅から急行桜島51号に乗りこんだ。
阿蘇川君はその時点ではSLに興味は無かったが、親がかりじゃない旅がしたいと付いてきた。>>>実は、その後彼は、鉄道ファン(今風に言えば乗り鉄)になり、北大に進学するのである。笑
今では考えられない東京発~西鹿児島行きの急行列車である。
おそらく総走行距離は1500kmくらいだろう。
上野から青森の往復に近い。
見送りに来ていた今回初めての長旅をする金井君の母親に手を振り、早朝東京駅を出発した。
我々の指定席は、先頭車両の一番前! でも大阪までしか取れなかったので、大阪から先は、この車両を牽引していたEF58の連結側のデッキに新聞紙を敷いて座り、照り付ける西陽を浴びながら開けっ放しのデッキを流れる明石の街を眺めていた。
すると同じようにデッキに移動してきた2人の大学生らに、お前等もか! 同類項だな・・・・と呼ばれた。丁度数学で同類項をならったばかりだったことも有り、意味が解ったのと同時に、大人の大学生に、「よう~・・!同類項! 」と呼ばれ、同じ旅人として子供扱いされなかったことがとても嬉しかった。
やがて岡山に到着し、我々は、仲良くしてくれた大学生に別れを告げ、荷物とともに1線番線のプラットホームに降りたった。
折角初の西日本を訪れるのに、D51の三重連で有名な布原信号所のある伯備線に寄らない手は無い!というわけで、当初の計画通りの行動だった。
伯備線は倉敷と鳥取県の米子を結ぶ南北に長いローカル線だが、列車は殆どが岡山駅から出発する。中国地方ではC57の重連で有名な播但線と並ぶ瀬戸内海と山陰を結ぶ貴重な路線でもある。
翌朝の米子行きの始発に備え、我々の今晩の寝床は、岡山の駅のホームのベンチだった。まあ、本当の理由は手持ちの資金が潤沢に無いからに他ならない。
降りたホームは山陽本線の夜行列車が到着するホームだったので蛍光灯が一晩中点いており、眩しくて寝られたもんじゃないので、薄暗い伯備線のホームに移動し、今晩の塩梅の良いねぐらを探す。
3人とも中学1年なのに半ズボンを履いていたので、駅の職員が、我々を家出少年と勘違いして何回か様子を見に来たが、三脚とカメラバックをカバンから出して見せ、そうではないことを伝えると、急にニコニコしながら話しかけられた。 キャノンとかニコンとか時々聞こえるカメラ用語意外は、誰も喋っている意味が全く理解できなかった。笑
考えてみれば初めて聞く、西日本地方の方言だった。
やがて眠くなったので、各々が着の身着のままで、ホームの木製のベンチに寝転がった。 夏の旅は、こんなことが出来るので貧乏旅行者には都合が良い。 故か蚊は居らず、快適に翌朝まで熟睡できた。
翌朝は5:30頃の始発の気動車に乗り、とりあえず新見機関区を目指す。
降りたホームにはD51が牽く 岡山行き上りの客車が・・・・
白い帽子の半ズボンは 金井君!笑
新見機関区 転車台! 以前は各地のターミナル駅で、こんな風景が見られたものだ。
夥しい量のD51! ♪ 僕~等は、みんな~生~きている~ ♪
♪ 生き~~ているから、熱いんだ~♪
丘の上に登り、全景をのぞむ。 見本のような美しい扇形車庫!
暑い日だったが、 何と素晴しい光景だろう!
外道のデデゴシ/デデーゴーヨン(DD54)もいるでよ・・・
その後、![イメージ 7]()
切符を買って、あまりにも有名な3重連の撮影地、布原信号所の先の鉄橋のたもとを目指した。
ここは本来乗降客が降りたつ様な駅ではないので、SLファンくらいしか降りない。降りた気動車が汽笛と共に立ち去ったら、備中神代方面に線路の上を歩き、前方の鉄橋を渡り、そこから右手に登ると、ちゃんと段々に整地してある斜面があり、既に先客が三脚を並べ、たくさんの砲塔を、信号所の方に向けて、撃ち方用意の態勢になっている。
すると、その中に、その年の春、山形の米坂線で一日行動を共にした30歳代の痩せぎすのおじさんが偶然居て、声を掛けられた。
おやおや・・・ でも、こんなことは珍しくも無いことで、休みともなれば、1年中大抵同じような場所を目指して行動しているので、東北や北海道などの撮影地ではよくあることだった。
SLファンなら大人も子供も関係無いのである。有るのは軍資金の違いくらい。
<撮影データ>
MINOLTA AL-E Rokkor 40mm F11 1/125 コダカラー サービス版600dpiスキャン
ひとまず、D51の重連が来たので、カラーフィルムが入ったサブのカメラで腕試しで1枚! 前補機~もっと煙噴けよな~~!
<撮影データ>
PENTAX S3 スーパータクマー135mm F8 1/250 FUJI ネオパン 600dpiスキャン
布原信号所で出発を待つセメント列車のD51三重連。
ここは出発してすぐ25/1000の急勾配。思い切りボイラーに圧を掛け
無ければ、長いセメントの貨車を引っ張れないので猛烈に煙を噴く。
というか停車中の3台のD51の煙突からは既に凄い煙だ!
やがて汽笛が、ボゥオ~ッ! ボァオ~ッ! ボゥオ~ッ!と山間に響き渡り、力強いドラフトと共にこちらに接近してくる。
SLマニヤ御用達の定番 SLICKプレートデラックス
父親から借りてきた重くてごついベルボンの三脚の雲台に画像のSLICKプレートデラックスを点け、PENTAX S3と MINOLTA AL-E を並列に取り付け、レリーズを構え臨戦態勢にはいる。
PENTAX S3 スーパータクマー55mm F1.8 + 純正露出計(ネットから画像拝借)
そして、いよいよ先頭の機関車が鉄橋に差し掛かった刹那、親父から貰ったPENTAX S3は、シャッター下りず、ペンタの定番故障のミラーUPの状態に・・・
およよ!撮影不能!
慌ててMINOLTA AL-Eを外し、手撮りで対応・・・しかし後で現像したらブレブレのピンボケだった。
伯備線の3重連、結果 ろくに撮れず・・・!
これから九州遠征だというのに・・・
MINOLTA AL-E ロッコールGF40mm F1.8
意外と明るいレンズだったんだな~・・・
一般家庭向けのMINOLTA AL-E 準広角だけで、望遠も無しでこれから10日間 どうすりゃいいのさ・・思案橋!
次回は・・・
ペンタックスのミラーアップ故障失意の北九州、SLのメッカ筑豊線と折尾のヘンテコラーメンの巻!
まさかのお腹いっぱい過ぎて、大好きなSLに飽きる・・・・・?