今日は寒い朝だった。
私の仕事場の陣地は以前シュレッダーやコピー機が置いてあった、デッドスペース・・。
冷暖房から見放されたそんな隅っこに嵌められている。
人の何倍も資料が多いし、会社からも煙たがられている証拠だね。
だから、これからは机の下の暖房は欠かせない。
今年はじめて足元の安物の電熱ファンヒーターのスイッチを入れた・・
父親が浦和駅前の質屋が経営していた万事屋で初めて買ってきた安物の青い取っ手の鍍金のドライヤー・・・
その電熱線が放つ臭いに似たあのきな臭ささが足元から鼻腔に立ち昇ってくる。
浦和の小さな借家に住んでいた頃の我家の居間のバイタリスの匂いと混ざった朝の風景をふと思い出す。
親父が自慢だった歩くとキュッキュッっと鳴く革底の靴からクラリーノを履きだした頃、ドライアーと共に我家に訪れた新しい波・・
それまでのポマードが発するセルロイド臭から明らかに変わった甘ったるいバイタリスの香りとドライヤーのそのきな臭さは、幾つになっても
幼い頃の記憶にこびり付いている。
今、我が家の洗面所にある、青いLEDが点く娘達の1000Wのドライヤーからはそんな臭いは全くしない。
多分発熱体の素材が全く違うのだろう・・。
だが、コレは確実に電熱線のそれの臭いがするのだ・・
やっぱり嫌いになれない・・
この数年前にネットで\2,980で手に入れたこのプラスチックな箱には、
きな臭い思い出のスイッチが付いているのです。